by kii.
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まだ見ぬ人へ

by kii, 2021年12月29日

今年は東京はホワイトクリスマスだったらしい。あいにく、僕はそこにいなかった。大寒波が来ていた年だった。年越し寒波なんてのも言われていた。コロナに蝕まれた世界で、日常を取り戻しつつある世界で、ウイルスも変わり続ける世界で、こんなときでも人は変わらなくて、そんな年の、二八日。ごくごく普通で、一期目を終えてこの会社で関わりが増えた人から、ありがとうございましただなんてメールが届いていた。終わらない業務も、終わったように錯覚する。今日も新しいことが決まった。年明けから動いていく予定だ。心身ともに限界を超えたように感じて、来年はどこかに行ってしまおうだなんて思う年末だ。

愛する画家とともにコーヒーを味わう昼、そんなときに君は突如として現れた。。正直僕は喜べなかったよ。いや、きっと君がぼくの前に現れることに対しては当然喜ばしいことなんだけど、でも、僕は同時に、愛する人たちへ生涯裏切ることになるんじゃないかと、軟弱者だから決めた覚悟もふらふらとどっかに行ってしまいそうだよ。まあ実際裏切ることになってしまって、僕は僕の決めた信念すらも守り通せない事になってしまう、それも守れないようじゃ僕は自決してしまったほうがいいとずっと思っていたから、今がその時かもしれないね。きっとこの先が幸せだと思いながら、目を背けることのほうが、とってもとっても楽だから。でもそれは愛もすべてを放棄することを意味するから、難しいもんだ。でもきっと僕は君を愛するだろうし、家族だけは裏切らないと決めているから 、愛する人たちに時には背を向け顔を背け、騙し裏切り続けるとしても、その矛盾の間でも君のこれから先を思い続けるだろう。だから、ぼくは喜べなかった。

きっと君ははやくに人を亡くすだろう。辛かろう。寂しかろう。だから、まとめて愛していきたい。僕がいる限り、僕と同じような苦しみや失敗はしてほしくない。きっと君にはその才能があるから、全力で止めてみせよう。筆を持ちたいなら持たせてあげよう。でも、愛することだけは覚えて帰ってほしい。憎しみを抱いてはいけないと、怒りに心を許してはいけないと、受け止める強さを持つだと、それだけは覚えて帰ってほしい。自分を捨ててはいけないし、悲しみに支配されてしまってはいけないし、自分を忌み嫌ってはいけないんだと誰も教えてくれないだろうから、一緒に学び直そう。本当は、皆で食卓を囲みたい。清らかな心でともに時間を過ごしたい。濁りのない目で皆をみたい。いつの日か。

by kii

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